【お客様の声】頭金を入れるべきか、住宅ローン控除期間後に繰り上げ返済するほうがよいか、悩んでます

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こんにちは。
ファイナンシャルプランナーの海老原政子です。

住宅購入前に相談に来られた方からメールでご相談が届きました。「今週末、ちょうど住宅展示場にいくんだよー」という方はぜひその前にご一読を!

画像|頭金を入れるべきか、住宅ローン控除期間後に繰り上げ返済するほうがよいか、悩んでます

※お客様より掲載のお許しを得て公開しています

長い目で無理のない住宅ローンにしたい!けれど、頭金で悩んでます

今回ご相談者とのご面談は夏のころ。
その後、メールが届き、物件が決まりいよいよ契約するとのことで具体的に住宅ローンのことでご相談がありました。

ライフプラン全体から住宅資金計画を考えるプロセスを大切になさるご相談者。
ご面談後にキャッシュフロー表をおつくりしてから数か月経った頃に届いたご相談メール。私とご相談者の間で交わされたメールのやり取りが、今後住宅を購入する方にとっても参考になると思い、ご快諾いただきお客様の声として公開をさせていただくことになりました。

ひとくちに「35年ローン」などと言いますが、長期にわたり大きなお金の返済を考えていく機会はめったにないこと。
多くの方にとって「たった一度きり」ではないでしょうか?

今回のご相談者のように、修繕積立費も不変の金額ではないとお考えください。

実は、最初の負担を売り手が気にするあまり、そもそも修繕積立費が逓増する修繕計画は珍しくありません(入居後5年目までは数千円台だったものが6年目以降は1万円台前半、その後2万円台まで徐々に増えていくパターン)。
修繕積立費が固定であっても、あくまで計画上のこと。将来の大規模修繕工事時点で工事費がまかなえず、追加で各戸住人に資金拠出が求められる場合も古いマンションでよくあります。そのときに教育費のピークを迎える子育て世帯の場合、資金を調達するのが大変になるかもしれません。

販売して終わりの住宅販売業者ばかりではありませんが、最終的に住宅ローンの責任をとるのは買い手であるあなたです。
提携プランを鵜呑みにせず、何度も手を動かしシミュレーションしましょう!
金融資産残高の変化を確認し、ご夫婦で安心して返せる住宅資金計画を立ててください。

前置きはこのくらいにして、メールをさっそくご紹介いたします。

■お客様の声

ご相談のテーマ「住宅購入と今後のライフプラン」

《ご相談メール》

お世話になっております。○○です。
その節はありがとうございました。

検討に時間がかかりましたが、先週マンションの購入申し込みをしました。
ローン事前審査は承認済みで、今週の○曜に契約の予定です。

海老原様ご指摘の通り、マンションは維持費がかかるのが心配ですが、…(中略)…ため、資産性を維持できること、何より子育て環境がよかったため決めました。

今回は住宅ローンのプランについてアドバイスいただければと思いご連絡しました。

【ご相談内容】

・私(妻)の父から、夫と私それぞれに、○○万円の援助があります。

・海老原様推奨の25年ローンが理想なのですが、月々の支払がUPするので、難しいかなと思っています(将来的に修繕積立もUPするため)

・主人は頭金に○○万円くらい入れて35年ローンにして、月々の支払を抑えた方がよいと考えています。 将来的にはさらに繰り上げ返済して、期間を圧縮することが目標になると思います(頭金をこの程度入れるのであれば、期間を30年とか短くするのもいいのでは、と私は思っています)。

 一方、私は、頭金は入れずに、○○万円35年ローンにし、住宅ローン控除を目いっぱい受けて、14年目頃に○○万円を繰り上げ返済すれば、定年時の住宅ローン残高がかなり減り、借入期間圧縮できるのもメリットかと思っています。

 キャッシュフロー表を作成いただいて、資産運用は必須のことと思いましたので、キャッシュを手元に残して、運用できるメリットもあると思っています。しかしながら、月々の支払が多くなり、将来金利が上がれば、ローン返済+修繕積立が、月々の支払を厳しくしていくものとも懸念しています。

このプランはやはり危険でしょうか。。(汗)

細かくて恐縮ですが、海老原様の視点でお気づきの点があれば、アドバイスいただけますと幸いです。
なにとぞよろしくお願い申し上げます。

《上記に対するご返信の一部》

海老原です。お世話になっております。シミュレーションデータを拝見いたしました。
今回お時間がなかったこともあり、【住宅ローン部のみ変更】した複製プランを2つ追加させていただきました。

①…頭金ありの追加シミュレーション…

②…頭金なしで将来繰り上げ返済したシミュレーション…

※双方、ご両親からの贈与など他の条件は反映していません。

(中略)・・・①、②プランに対する補足コメントのため割愛

定年前後の家計収支を考えますと、老後に手持ち資金をとり崩しながら住宅ローンの返済をしていく不安は、想像以上に大きいかと思います。

多くのご家庭の家計を拝見していて1千万円単位の繰り上げ返済を計画通りきっちりできるか、という懸念は正直あります。
予定外の進路(例:お子様が中高一貫校に進学することになった等)であったり、就業状況の変化(例:ご実家で介護が必要となり非正規雇用に変更になる)など可能性ゼロではありませんので…

繰り上げ返済のタイミングや頭金の金額についてご夫婦でしっかり話し合うことをおすすめいたします。

(後略)・・・シミュレーションソフトの操作説明のため割愛

以上、簡単ですが住宅ローン周りのコメントです。どうぞよろしくお願いいたします。
海老原

《O様からのご返信》

先日はメールのご返信ありがとうございました。
あの後、子供と一緒に風邪をひいてしまい、そんな中で契約などがあり、ご返信ができずに大変失礼いたしました。
申し訳ございません。

住宅ローンの申し込みも済みました。
結局頭金は入れることにしました。

シミュレーションを作っていただきありがとうございます。お手数をおかけいたしました。
今後もこちらのソフトを利用して、自分でいろいろ条件を変えながら、やってみたいと思います。

○月にお会いして相談に乗っていただき、やはり節約は大事だと思って、食費など見直すことにして、だいぶ収支がよくなりました!
少し節約疲れしていたのですが、海老原様のおかげです。これからも頑張っていきたいと思います。

今回は急ぎのお願いばかりで、申し訳ございませんでした。メールでの質問にもご対応いただきありがとうございました。

またご相談させていただくこともあるかと思いますが、その時はよろしくお願いいたします。
お忙しいかとは思いますが、ご自愛ください。

※参考サイト※

上記やりとりで使用している無料のライフプランソフトはこちら↓
一般の方にも全機能が無料で使えるサイトです。
入力項目や設定は慣れない方には少し難しいかもしれませんが、住宅ローンや教育費を織り込み精緻なキャッシュフロー表が作成可能です。

▽Financial Teacher System 8
https://financial-teacher.net/info/self-use.htm

ヒアリングシート提供のかたちでご協力させていただいております。

住宅ローンのシミュレーションに限って言えば、こちらがおすすめ↓
繰り上げ返済を織り込んだシミュレーションもでき、60歳時点ローン残債が自動表示される様式が秀逸です。

▽フラット35|資金計画シミュレーション
https://www.simulation.jhf.go.jp/type/simulation/sikinkeikaku/openPage.do

前提を変え、何度もシミュレーションを繰り返すことで、家計の未来像が浮かびやすくなります。
FPに一度きり作ってもらうのなら、ご自身で何度も手直しできるものがおすすめです!

【参考記事】住宅を購入する時、頭金は必要?どのくらいあればいい?

>O様
この度はご用命いただき、ありがとうございました。
長い先を見通すための武器である「キャッシュフロー表」に真摯に向き合っていただき、ありがとうございました。
魚ではなく魚釣りのスキルをお伝えすることができて、FP冥利のご相談となりました。

時間が限られた中でやりとりで舌足らずな点も多々ありましたが、お役に立ちましたら幸いです。
「キャッシュフロー表」がこれからもOさんの良き羅針盤となることを祈っています。